弛緩集中と正中線
Mid α波コントロールによるリラクセーション・トレーニングやイメージ・トレーニングは、脳と身体をつなぐトレーニングです。確かに余分なリキみは抜けて行きます。
しかし実際の動作に移ると、どうしても余分なところに力が入ってしまいます。そう、余分な力(チカラ)、力(リキ)みなのです。
そのリキみをコントロールする重要なカギが、「正中線の維持」です。身体の芯と言っても良いでしょう。
どのような動作にも芯は必要です。芯が通れば身体は安定します。その為には、動作以前の重心位置と、動作に合わせた重心の移動、動作後の重心位置が重要になります。それが「芯」です。
ところが我々は、学校教育などの「気を付け」「休め」と言った号令に合わせた動作や、体操、深呼吸動作などによって、芯の通らない間違った動作を覚えてしまっています。そしてそれに合わせて発達して来た筋肉によって、普段の生活を支えています。
そもそも学校で習う「気を付け」姿勢は、人間の骨格にとって、異常な状態です。
「気を付け」は、重心が踵に掛かってしまう不安定な骨格の状態になります。
本来立っている時の腕は、腿の前横に来るのが自然であって、真横に来るべきではありません。湧泉辺りに重心が掛かりつつ、足裏全体に体重が乗っているのが、所謂、自然体。
胸を張ったら骨格が歪みます。そっくりかえる形ですから、重心が踵に寄ってしまいます。これでは、ちょっと押すだけでよろけてしまいます。
深呼吸も、お腹を使わずに「ズッ」と吸って胸の上だけ一杯にしている。これでは酸素を充分に補給しているとは言えませんし、交感神経を刺激してしまう。そして胸の上だけの呼吸に慣れてしまう。
背中が丸まってしかも浅い呼吸しかしていなかったら、身体中がいつでも酸欠状態、交感神経刺激で興奮状態です。殆どの人は、こうした状態 に慣れて生活しています。そして大概の運動を、その習慣的になってしまっている間違った筋肉動作を基本として始めてしまうのです。
ところが学校で習うので、「あれが良い姿勢なんだ」と思いこんでしまっています。
そしてまた、力強いと勘違いしている立ち方は、重心が後ろにあるので、すぐに動けません。
ゴルフスイングにおける正中線
私(塾長)がメンタル・ビルドアップを指導しているアスリートの一人、梶川プロに協力してもらいました。
アドレスもテイクバックも、重心の意識はつま先にあります。そして○を意識して正中線に沿って正中点を中心にして、上半身の回転を初動として腰が追いかけて回転すると、無駄に腕が上がり過ぎることはありません。飛ばそうとして腕をあげる程、重心はブレますし、動く為の筋力は低下します。
フィニッシュにおいても同じ。写真②のように、上腕は地面と平行。頭頂は右足と垂直線で繋がる位置に。
これで頭頂~○~左足踵のラインが一直線であれば、正中線が揃ったフィニッシュになります。その上で、右足のつま先と踵が垂直になると、足首を持って持ち上げようとしても、右足はビクともしません。
正中線の揃ったスイング(他のスポーツの動作も同じですが)は、余分なリキみのない、スムースな動作、いわゆる「肩の力の抜けた」動作です。
リラックスを「力が抜けた状態」とする考え方は、間違いです。それは「脱力 = 自分の意思で力みをコントロールできない状態」です。リラックスは「力を抜いた状態 = 抜力 = 自分の意思で力みをコントロールしている状態」です。それは「氣力の充実した状態」でもあります。それが出来上がった筋力を最大限に発揮できる状態なのですが、いわゆる「力を入れ」た方が良いように思ってしまうのが、固定観念なのです。「力強い動作」は、実は最も無意味な動きなのですが、固定観念が「力強い動作は格好良い」と思ってしまっている。
とんでもない。「リキみの抜けたスムースな動き」が、本当は一番格好良いのです。
大体、足に力を入れたら歩けないし、腕に思いきり力を入れてみたら・・・やはり歩けないでしょ?
力むとは、身体を固定すると言うこと。
スイングと言う動作は、腰の回転に合わせて、足先から膝、背中、肩、腕に至るまで、全ての関節と筋肉の動きを利用するものなのですから、固定して良いはずはないのです。
これは肘にしても同じことです。何故皆突張った肘を作るのか、理解できません。肘も緩ませてこそ、回転筋力が発揮できるのにね。後は伸筋と屈筋、能動筋と受動筋、速筋と遅筋の使い方。それでヘッドスピードも上がるし、ピンスポットに当たる率も上がるのに・・・・・・
(2007年)
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